Muraki Blog 税理士 村木慎吾のブログ

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所得税のブログ

配当等及び役員賞与のみが1年経過後に支払いがあったものとみなされる理由

 源泉徴収の対象となる支払いは数多くありますが、源泉徴収義務者は、その支払いをする際に源泉徴収をし、当該源泉徴収税額を納付するのが原則です。
 しかし、そのうち「配当等」及び「法人の役員に対する賞与」については、支払いの確定した日から1年を経過した日までにその支払いがされない場合には、その1年を経過した日においてその支払いがあつたものとみなして、源泉徴収義務者は源泉徴収税額を納付する必要があります(所得税法181条第2項、183条第2項)。

 

 これは、配当等及び役員賞与という性質が影響していると考えられます。
 つまり、配当等及び役員賞与は、旧商法では利益処分とされ、税務上は損金に算入されないものであり、現在も例外はありますが同様の取り扱いです。そのため、源泉徴収義務者としては損金に算入できないものであるため、受領者と共謀することによりその支払いを先延ばしにし、支払った場合に源泉徴収される税額を事業に運用するケースがあったのでしょう。そこで、1年を経過した日までにその支払いがされない場合には、その1年を経過した日においてその支払いがあったものとし源泉徴収税額を納付させることで、穴塞ぎをしたのだと思われます。


 その他の源泉徴収の対象となる支払いについては、原則として源泉徴収義務者の損金に算入されるため、このようなケースは考えにくいとして、同様の特例を設けていないものと思われます。

CATEGORY : 所得税

消費税を税込処理している場合の落とし穴

 消費税を税込経理している場合の消費税等の損金算入時期は、原則としてその消費税等の申告書の提出日の属する事業年度ですが、申告書が未提出の場合であっても、その申告書が申告期限未到来のもので、かつ、その消費税等の額が損金経理により未払金計上されているときは、その事業年度に損金算入することが認められています(個別通達 消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて)。

 上記のような取り扱いもあることから、比較的小規模の企業等では、事務処理の手間から、消費税を税込処理して経理し、決算時に未払金計上している企業等が多いように思います。


 確かに、通常は税込処理でも問題は生じないのですが、税務調査等により消費税額を修正(納付)する場合には、税込処理を採用することによる最大のデメリットが露呈します。

 

 例えば、前期に「外注費」として支払っていた経費(税込5,250,000円)が、税務調査において「給与(税抜5,250,000円)」であると指摘を受け修正申告をするとします。

 

 【税抜処理の場合における納付額】
 前期における消費税の過少納付 →    250,000円
 前期における法人税の過大納付 →  △100,000円 (250,000円×40%)
   差引納付額            150,000円

 

 【税込処理の場合における納付額】
 前期における消費税の過少納付 →  250,000円
   差引納付額           250,000円

 

 このように税抜処理の場合には、消費税の修正に伴い(給与という経費が250,000円増えるため)前期の法人税額が還付され、修正申告により納付する税額(150,000円)が少なくなります。

 一方、税込処理の場合には、納付する修正消費税(250,000円)が修正申告書を提出した事業年度(進行期)の損金となるため、修正申告による納付額は、税抜処理と比べ一時的ではありますが多くなります(250,000円)。


 つまり、税抜処理のケースでは修正する消費税額の60%相当額の納付で済むのに対し、税込処理では修正する消費税額の全額を納付する必要があります。

 上記の差額は一時的なものとはいえ、消費税の課税非課税の判断で疑義があるような場合には、せめて税抜処理をしておくことが否認された場合の保険となりそうです。

CATEGORY : 所得税 法人税

税制適格ストックオプション要件のうち,「1,200万円要件」についての留意点

 個人が付与されたストックオプションについて権利行使した際、当該ストックオプションがいわゆる税制適格ストックオプションであれば、個人に対する課税は、権利行使時ではなく、ストックオプションにより取得した株式の譲渡時まで繰り延べられます(措置法29条の2)。
 税務上、この税制適格ストックオプションとして取り扱われるためには、様々な要件を満たす必要がありますが、その中でも「1,200万円を超えないこと」という要件が二つあります。

「契約時における1,200万円要件」と「権利行使時における1,200万円要件」です。

 

「契約時における1,200万円要件」とは、ストックオプションに係る契約において、当該契約に係る新株予約権等の行使に係る株式の払込金額の年間合計額が1,200万円を超えないこととされていることです(措置法29条の2第1項2号)。この際、ストックオプションの付与を受ける個人が、他の法人から別のストックオプションを付与されていても、「契約時における1,200万円要件」には影響しません(当該ストックオプションを付与する法人にとっては、知りえないことです)。

 

一方、「権利行使時における1,200万円要件」とは、ストックオプションを行使する個人の権利行使価額の年間合計が、当該行使により1,200万円を超えないこととされていることです(措置法29条の2第1項本文)。これは、各社のストックオプションごとという個別方式ではなく合算方式であり、1,200万円を超える額を課税とする控除方式ではなく1,200万円を超えることとなる権利行使を課税する免税点方式となります。
例えば、A社のストックオプションを6月に800万円行使し、同一人がB社のストックオプションを同年8月に1,000万円行使した場合であれば、600万円(800万円+1,000万円-1,200万円[控除方式])ではなく、1,000万円(800万円+1,000万円≦1,200万円[免税点方式])が課税されます。

CATEGORY : 所得税

取得期間内に代替資産を取得しなかった場合における特別控除の適用

 個人の有する土地等について収用が行われ、補償金等を取得し、当該補償金等により代替資産を取得する場合には、次の特例が認められています。
①「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(措置法33条)
②「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除」(措置法33条の4)
上記の特例は、いずれか一方を選択する必要があるため、例えば①の適用を受けた場合には、②の特別控除の適用を受けることができません(措置法33条の4第1項)。

 

 この①の特例は、補償金等の額の全部若しくは一部をもって、その収用等のあった年の12月31日までに代替資産を取得する場合だけではなく、収用等のあつた日以後2年以内など所定の期間内に代替資産を取得する予定がある場合にも、代替資産明細書を提出することによって適用可能とされています(措置法33条第2項)。


 そのため、翌年以後に代替資産を取得する予定で①の適用を受けたにも関わらず、都合により所定の期間内に代替資産を取得できなかった場合には、その所定の期間経過後4か月以内に、収用等があった年分の所得税について修正申告書を提出する必要があります(措置法33条の5第1項第2号)。

しかし、当該収用が、②の特別控除の特例の適用要件を満たしている場合には、上記の修正申告においても、②の特別控除の適用が認められます(措置法33条の4第1項)。

CATEGORY : 所得税

団体信用生命保険契約に基づき保険金が支払われた場合の住宅借入金等特別控除の適用

 住宅借入金等特別控除の適用には、当初居住した時からその年の12月31日まで継続して取得等した家屋に居住していることが必要です。しかし、年の中途における死亡により12月31日まで当該家屋等に居住していない場合においても、死亡した日まで継続して居住していたときは、死亡した者の準確定申告において当該制度の適用を受けることができます(措置法41条1項)。

 

 一方、団体信用生命保険付き住宅ローン契約を締結している場合には、債務者が死亡した時に、その死亡に基因して債務相当額の保険金が保険会社から債権者である金融機関に対して直接支払われ、これをもって住宅ローンが消滅することになります。結果、死亡日現在において住宅借入金等の残高がないことから、住宅借入金等特別控除の適用はできません。

 

 なお、団体信用生命保険ではなく遺族が受け取った生命保険から住宅借入金等の残債を返済した場合には、その死亡の日において住宅借入金等の残高があることから、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

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相続人が事業を承継した場合における被相続人に対する事業税の必要経費算入時期

 個人事業を廃止した年分の事業所得に対して課税される事業税は、所得税基本通達37-6にかかわらず、その課税見込税額を廃業年分の事業所得の計算上必要経費に算入することができます(所得税基本通達37-7)。

また、この取り扱いを適用しなかった場合においても、廃業年分に対する事業税の賦課決定通知を受けた日の翌日から2月以内に限り、廃業年分の更正の請求をすることができます(所得税法63条、152条)。


 上記の取り扱いは被相続人の事業を廃止した場合において認められているものですが、被相続人の営んでいた事業を相続人が承継した場合には、死亡により事業が廃止されたとは解されていません(裁決S62/9/21 706項)。

そのため、被相続人の事業所得に対して課税される事業税は、賦課決定の通知を受けた日の必要経費、つまり事業を承継した相続人の必要経費に算入することになります。

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遺産から生じる所得の帰属者

 相続が発生すると、遺産は相続人の共有となりますが、その後遺産分割が行われた場合には、共有関係は相続開始の時に遡って消滅します(民法898)。しかし、遺産がこの共有状態であるときに生じた賃料等の果実は、遺産とは別個の財産(債権)であるため遺産分割の対象に含まれず、共同相続人が、果実が生じた時点での相続分に応じ分割して取得すると解されています(最高裁H17/9/8)。


 そのため税務上も、未分割の段階で生じた賃料等の所得は、共同相続人が法定相続分(相続分が指定されている場合にはその指定相続分)に応じて申告し、その後遺産分割が成立した場合であっても、遡って所得の修正は行いません。これは、上述の通り、遺産から生じた果実は遺産分割による遡及効の影響を受けないため、賃料が発生した時点での所有者がその収益を取得すると考えるためです。また、共同相続人のうち特定の相続人のみが当該遺産(所得)を管理している場合であっても、その特定の相続人のみの所得とすることはできません。

この取り扱いは、遺産分割が未了のまま遺産を譲渡した場合における譲渡所得の申告についても同様となります。

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負担付贈与により取得した資産の取得費及び取得時期

個人が「贈与」により取得した資産を譲渡した場合、その譲渡所得の計算においては贈与者の取得費及び取得時期を引き継ぐことになります(所得税法60条1項1号)。

 

そこで、負担付贈与により取得した資産を譲渡した際にも、この規定を根拠にその贈与者の取得費及び取得時期を引き継ぐものとして、譲渡所得の申告を行いその適否が争われた事案があります。この事案において最高裁は、当該規定の「贈与」とは単純贈与のような贈与者に経済的利益がもたらされないものをいうため負担付贈与は当該規定の「贈与」に該当しない、との判断をしました(最判:S63/7/19)。


つまり、所得税法では負担付贈与を行った場合の負担は資産の譲渡対価とされるため、その取得資産について贈与者の取得費及び取得時期を引き継げないことになります。

 

なお、負担付贈与で取得した資産であっても、譲渡価額(負担付贈与の負担額)が、「当該資産の時価の2分の1未満であり」かつ「その資産の取得費及び譲渡費用の合計額に満たない」場合には、贈与者の取得費及び取得時期を引き継ぐことになります(所得税法60条1項2号)。

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